TAX ライブラリー(2015.04)

相続税・贈与税の改正(2)贈与税の主な改正点(2015(平成27)年1月1日より実施)

−最高税率 現行50%→55%へ引き上げ!−

□ 2015(平成27)年1月1日以後、相続税と贈与税が改正されました。先に(2014-12-15)、御案内のとおり、相続税は課税強化され、これまでは相続税が課税されなかった方も、2015(平成27)年1月1日以後は、課税対象となる場合があります。一方、子や孫に対する贈与税については、一部、課税が緩和されています。
今回は、贈与税の主な改正点について、説明します。

□ 税率構造の変更
 贈与税を計算する際に利用する税率構造が改正されました。従来は6段階(最高税率50%)であったものが、2015(平成27)年1月1日以後から8段階(最高税率55%)に引き上げられました。
 また、税率構造は、「20歳以上の者が直系尊属から受けた贈与」と「それ以外の贈与」で区分されることになります。
 次のとおりです。

<贈与税の税率構造の変更>
基礎控除後の課税価額
*基礎控除110万円
改正前 改正後
20歳以上の者が直系尊属から受けた贈与 左記以外の贈与
200万円以下の金額 10% 10% 10%
300万円以下の金額 15% 15% 15%
400万円以下の金額 20% 15% 20%
600万円以下の金額 30% 20% 30%
1,000万円以下の金額 40% 30% 40%
1,500万円以下の金額 50% 40% 45%
3,000万円以下の金額 50% 45% 50%
4,500万円以下の金額 50% 50% 55%
4,500万円超の金額 50% 55% 55%

□ 相続時精算課税制度の対象範囲の拡大
 相続時精算課税制度は、一定の要件を充足した贈与の場合、贈与財産額2,500万円までは贈与税を課税しないとする制度です。贈与財産は、贈与者に相続が発生した時点で、相続財産に加算されて相続税として精算されることになります。
 従来は、受贈者は20歳以上の子に限られ、贈与者の年齢も65歳以上と定められていましたが、2015(平成27)年1月1日以後は、受贈者は20歳以上の子、及び、孫に拡大され、贈与者の年齢も60歳以上と緩和されました。

<相続時精算課税制度の適用範囲の拡大>
改正点 改正前 改正後
受贈者の範囲 20歳以上の子 20歳以上の子、及び、孫
贈与者の年齢 65歳以上 60歳以上