LEGAL ライブラリー − 注目の「ITニュース」(2025.05)
生成AIの影響
−3.生成AIがもたらす経済効果
□ 生成AIの登場は、ビジネスや社会に大きな影響を与えます。また、情報格差が増々拡大し、知らないうちに、AIに使われる人と、それを使いこなし革命的な進化を遂げる人に二分化されます。スイスの国際経営開発研究所(IMD)が発表した「IMD世界デジタル競争力ランキング2024」で、日本は67カ国中31位となっており、ITリテラシーの欠如によるDX化の遅れが国家的課題となっています。
そこで、回を分けて、特に生成AIを中心に、ITがもたらす、「経済効果」、「労働市場」、「社会的課題」、「知的財産権侵害」、「データプライバシーの懸念」、「セキュリティの脆弱性」等について、解説します。
今回は、「生成AIがもたらす経済効果」について解説します。
□ 総論
生成AIは、日本のGDPを押し上げ、失業者数を減少させ、賃金水準を上昇させる経済効果が期待されています。特に、顧客対応、マーケティング&セールス、ソフトウェアエンジニアリング、研究開発などの分野で大きなインパクトが予想されます(「情報通信白書(令和6年版)」/総務省)。
実際に、中小企業におけるAI導入の効果は、労働人口効果160万人相当を最大で推計した場合に、経済効果は2022年で2兆円、2025年には11兆円とされ、労働人口効果は2022年で29万人、2025年には157万人に相当すると算出されています(「生成AIが日本経済に与える影響の計量分析/大和総研」)。
□ 各論
(1)GDP増加 生成AIの普及によるGDP増加は16.2%に達すると見込まれています。
(2)雇用へ効果 失業者数を4.5%現象させ、賃金水準を8.2%上昇させると予測されており、労働者全体にプラスの効果が期待されています。
(3)顧客対応・マーケティング 特定の業務領域でAIが活用されることで、大幅な効率化と生産性向上が見込めます。
(4)経済効果規模 年間2.6兆ドルから4.4兆ドルの経済効果が期待されているとされています(「生成AIがもたらす潜在的な経済効果」/マッキンゼー)。
(5)日本の経済成長 AI利活用の徹底により、2035年までにGDPが約140兆円押し上げられるという試算もあります。
(6)労働生産性向上 AI技術の導入は、労働生産性を向上させ、高齢化や労働力不足の緩和に寄与する可能性があります。
(7)地域格差と付加価値の増大 都市部と非都市部でAIの影響が異なるため、所得格差や生産性格差、デジタル格差が悪化する可能性も指摘されている一方で、AIの信頼性を高めることで、より高度な業務にAIを活用できるようになり、付加価値の増大につながるとも言われています。
(8)金融機関での活用 業務効率化、新たなサービスの開発、与信判断能力の向上などに生成AIが活用されており、バックオフィスのスリム化や新たな成長機会の創出が期待されています。
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