IT ライブラリー − 注目の「ITニュース」(2017.12)

改正 青少年ネット環境整備法

−ネット上の有害情報の排除!

□ この度、「青少年インターネット環境整備法(青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律)」の改正案が可決されました(2017年6月16日成立)。
 この法律は、2008年に議員立法という形で成立したものであり、18歳未満の青少年にフィルタリングサービスの適用を義務付けたものです。しかし、そのフィルタリングサービスの利用率は増加するどころか、減少傾向にあります。一方、コミュニティサイト(出会い系サイト除く)をきっかけに犯罪被害にあった児童の数は増加傾向にあります。

□ フィルタリングサービスの利用率が伸びないのは、@設定の方法が煩雑になっており、店頭での説明が面倒に思われてしまうこと、A子供が使いたいサービスが、仮にフィルタリング対象であったとしても、ホワイトリスト(:アクセスできる対象に設定すること)に加える機能があるのに、操作手順が分からずに、フィルタリングそのものを保護者が解除してしまうこと、B、スマートフォンが高校生に広く普及したものの、利用したいアプリがフィルタリング対象になってしまうこと、即ち、利用実態とフィルタリングがミスマッチしていることが原因です。

□ 主な改正ポイントは次のとおりです。
(1)店頭の販売員に、利用者が18歳未満であるかどうかを確認することが義務付け、また、フィルタリングサービスを保護者か青少年に説明することが義務付けられました。
(2)フィルタリングサービスを利用しやすいような環境を、端末メーカーに義務付けつつ、OS側にも努力義務が課されました。
(3)フィルタリング有効化措置、容易化措置の導入、即ち、メーカーは、ネットワーク側でフィルタリングサービスを用意し、関連アプリをプリセットすることになります。

□ 課題
(1)Androidスマートフォンメーカーは、これまで無策であり、対応必須となります。
(2)iOSは、ペアレンタルコントロールとして、利用できるアプリを制限することはできものの、手順が煩雑であり、改善措置が必要となります。
(3)MVNOは、フィルタリングサービスをオプション、又は、無料サービスとして提供していることでカバーされています。しかし、回線と端末を別個に購入、契約しているユーザーが多いため、使用者の確認義務や有効化がどこまで効果的にできるかは課題と言えます。

 今回の法改正は、フィルタリングによってネット上の有害な情報から子供を守る取り組みの一環に過ぎません。総務省はもとより、キャリア通信会社、MVNO、端末メーカー、そして、OS提供事業者は、手軽で安心して利用できる環境作りを進めて行く必要があります。

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