IT ライブラリー − 注目の「ITニュース」(2016.03)

経理の実務が変わる「電子帳簿保存法の改正とタイムスタンプ技術」(1)

−2016年1月1日から適用開始!−

□ 2015年の税制改正において「電子帳簿保存法」が改正されました(2015年9月30日施行、2016年1月1日適用)。今回の改正により、経理の実務も変わり、大幅な経費削減が期待できます。電子帳簿保存法の概要、及び、改正点、留意点について解説します。

□ 電子帳簿保存法の概要:この法律は国税関係書類の保存義務を規定する法人税法等の特例法です。正式名称は「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」と言います。1998年7月に施行された法律です。
 この法律が成立した当初は、コンピュータで作成された決算書等のデータのみしか認められておらず、領収書等の紙文書をスキャンして電子データとして保存することが認められるようになったのは、e-文書法が施行され(2005年4月)、電子帳簿保存法が改正されたことがきっかけです。

□ e-文書法:e-文書法とは、法人税法、保険業法、薬事法等の約250の法律により、紙による原本保存が義務付けられている書類の電子保存を容認する法律の総称です。次の2つの法律によって構成されています。
(1)通則法:民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律
(2)整備法:民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律

□ 主な改正内容:2015年の電子帳簿保存法の主な改正内容は次の通りです。
(1)3万円の金額基準を廃止し、全ての契約書等のスキャナ保存が可能。
(2)業務処理にかかる通常の期間を経過した後、スキャンを速やかに行うこととしている場合の、関係帳簿の電子保存の承認要件を廃止。
(3)上記2点の規制廃止に伴い、新たに適正事務処理要件を追加。
(4)電子署名が廃止され、これに代えて入力者又は監督者に関する情報を確認できることを要件追加。
(5)重要度の低い証票、例えば、見積書等では、スキャナ保存の際に必要とされていた書類の大きさに関する情報の保存、及び、カラーでの保存が不要。

□ 留意点:電子帳簿として認められるためには、次の2つの要件を充足する必要があります。
(1)適正事務処理要件:これは、内部統制を担保するために相互牽制、定期的なチェック及び再発防止策を社内規程等において整備するとともに、これに基づいて事務処理を実施していることです。
(2)適用開始までのスケジュール:スキャナ保存の承認申請書を書類の保存に代える日の3ヶ月前までに、電子計算機処理システムの概要を記載した書類等を添付して、所轄の税務署長宛に提出する必要があります。
 次回は、電子帳簿に欠かせないタイムスタンプについて解説します。

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