IT ライブラリー − 注目の「ITニュース」(2015.07)

ブランド・プレミアム(高い品質=差別的優位性)

−インターネットを使った販売促進活動における留意点−

□ 「物」や「サービス」はどうしたら売れるのか? それは“お客さまの信頼獲得である”と言われます。資本主義社会の普遍の原理であるものの、抽象的で包括的な言葉です。少し噛み砕き、現代社会における“ブランド戦略”について、特に、インターネットを使った販売促進活動を利用する場合の留意点について、説明します。
 企業活動において、もっとも重要な概念です。広告物制作の際は、是非、お役立て下さい。

□ ブランドとは何か?〜最重要ポイントは“ブランド・プレミアム”!

(1)ブランドという言葉は、古期スカンジナビア語の「Brandr:焼き付ける」に由来すると言われています焼印は、牛や羊の所有者が他人のものと区別するための手段として用いられました。その後、中世になり、陶工が自分の作品である印として、底に独自のサインやマークを入れるようになりました。現在は、高級バッグやファッションを指して多く用いられていまうが、起源は農業から始まったものです。

(2)この「区別」を行う際、重要なのが、他の商品にはない高い品質=差別的優位性を明らかにすることです。これを「ブランド・プレミアム」と言い、これを構築することがブランド戦略(ブランディング)の目的です。すなわち、ある商品が類似商品と比べて、特徴がない場合、その商品は他のものと区別する必要はありません。起業して、商品設計をする際、自社商品・サービスが他の商品・サービスより優っている点を明確にしてから、どのような“焼印”デザインを押すかを計画しなければ、どんなに「色」「形」「大きさ」を工夫したロゴやパンフレット、WEBサイトを作っても顧客からのレスポンスを得ることはできません。他の商品・サービスよりも品質が高いという保証=信頼がなければ、顧客はそれを選ぼうとは思わないのです。
 ブランド戦略を計画する際、“他にはない特徴”の存在が絶対必要条件です。

□ ブランドの三大機能:ブランドには@出所表示、A品質保証、B情報伝達という大きな3つの機能があります。

(1)出所表示機能  当該商品・サービスは誰が製造、提供しているかという出所の表示のことです。同じブランドであれば、同じ企業が製造、販売していることが分かります。たとえ、外部業者へ委託されて製造されていたとしても、ブランドがあれば製品としての同一性はが保持されていると推定されます。この点、匿名性の高いインターネット広告では、出所を明らかにする工夫が重要です。社名はもとより、代表者やスタッフの写真を入れる等、プライバシー権との調和を図りながら、開示する材料を整える必要があります。

(2)品質保証機能  もとよりサービスの品質を保証することです。購入者は同じブランドであれば約束された品質が保証されていると推測します。ブランドは、この“顧客の期待”を保証する役割を果たしています。現在、インターネット上には、検索サイトや価格比較サイトがあります。同一メーカーの同一商品であれば、製品保証はメーカーが行うわけで、何処で買っても中身は同じです。価格比較サイトはメーカーの品質保証があるからこそ、多くのユーザーのアクセスを獲得しています。なお、士業事務所などのサービスを利用したいと考えるユーザーは、物販とは少し違う選択視点を持っています。価格以上にサービスの内容、士業者の人柄を重視しています。ここをしっかり訴求しなければ、顧客からの問い合わせを獲得することはできません。

(3)情報伝達機能  これは、商品・サービスの情報を伝達することです。媒体(新聞、雑誌、TV、ラジオ、インターネット-WEB・SNS(Faceook・Blog・LINE)・Mail等)選択は重要ですが、同時に、ブランドネームやロゴマーク、パッケージデザイン(名刺、封筒、パンフレット、リーフレット等)は、それ自体が強力な情報伝達手段です。マーケティング活動を通じて消費者に商品情報が伝わると、消費者がブランドに接したときのアピール力(訴求力)は著しく増幅されることになります。

□ ブランディング(ブランド戦略)の三大要素:ブランド構築(作る)、ブランド管理(守る)、ブランド拡張(使う)の3つのポイントがあります。

(1)ブランド構築  「ブランドを作る」ことです。消費者が商品・サービスの良さを認識し、その商品や企業に対して高い信頼を寄せることです。即ち、生産者が商品・サービスを作り、消費者がブランドを作るのです。したがって、消費者による高い評価を得るために、ネーミングやロゴマーク、パンフレット等を整え、お客様が当該商品・サービスの優位性を理解し易いような各種宣伝ツールの準備が不可欠になります。

(2)ブランド管理  「ブランドを守る」ことです。ブランドの評判が悪くならないように管理をすることです。即ち、ブランドに一定の基準を設けて、その基準をクリアしなければブランドを使ることはできません。もっとも、品質の悪い類似商品が出回るなど、外部の影響を被ることもあります。商標登録をし事前に予防することもブランド管理の一貫です。

(3)ブランド拡張  「ブランドを使う」ことです。どんなに評判の良いブランドでも、長く評価を保ち続けるためには大きな努力が必要です。消費者の嗜好は時代とともに変化するからです。高い品質を保ちつつ、新しい商品やサービスを打ち出していくことが重要です。ニュースやトピックス等の定期的な情報発信やWEBサイトのリニューアル、新しい商品・サービスのリリースを常に行ってゆく必要があります。

□ 「ブランド」について、現在、各国の経済学者や経営者が次のように定義しています。代表的な説を御紹介します。
●ジョージ・ギルダー   すべての経済活動において、一つの確かなコンフリクトが存在する。それは、過去と未来の葛藤、つまり現在の産業界の圧倒的勝者とやがてそこに入れ替わるべき者との葛藤である。
●P.F.ドラッカー  明日は必ず来る。そして、明日は今日とは違う。今日最強の企業といえども、未来に対する働きかけを行っていなければすぐに苦境に陥る。
●リチャード・ノーマン  従来の領域を超え、複雑に入り組んだ環境での過酷な活動を強いられること自体が、その中に潜むナレッジを導きだし、対応力を生み出し、企業を激変する環境適応に導く。
●デービッド・A. アーカー  ブランドの確立は4つの分野に分かれる。この内の一つをブランドの独自性として確立することが強いブランドにつながる。
1.機能的ベネフィット(品質・サービスそのもののベネフィット)
2.情緒的ベネフィット(ブランドの使用が顧客に良い感情を与えるベネフィット)
3.自己表現的ベネフィット(他人に対して自分を表現するというベネフィット)
4.相対的価格(同価格ならば、明らかに価値が高いというベネフィット)

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