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テーマ電子契約法
文書番号 : LB00301更新日 : 2004/10/30
Q :電子消費者契約、及び電子承諾通知に関する民法の特例とは?
事例インターネットのショッピングモールで書籍を購入しました。キャンセルボタンをクリックしようと思ったところ、誤って「送信」ボタンをクリックしたようです。3日後に、同じ本が11冊も届きました。販売業者は「利用規約には注文の取り消しはできない旨の規定があるので、返品には応じられない」と言って受け付けてくれません。誤操作をした私にも責任はあると思うのですが、対応方法はないものでしょうか。

A


近時、インターネットにおけるEC(=電子商取引)が活発になっています。IPO(株式公開)をした企業も多数あります。反面、EC関連のトラブルは、10年前の100倍強に急増しています。
そこで、2001(平成13)年12月に「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律(略称「電子契約法」)が施行されました(2001(平成13)年法律第95号、同年12月25日施行)。全4条から構成される法律です。
本件のような場合は、そもそも売買契約が成立しておらず、商品を返還することができます。
以下では、電子契約法について説明します。

1.法律制定の目的        インターネット市場における取引ルールを明確化し、国際的なインターネット市場におけるルールとの調和を図り、ネット上の消費者トラブルへの有効な救済措置の整備を行うことを目的としています。電子契の特徴を踏まえて、取引の基本的なルールを定め、民法の特例措置を定めたものです。

2.電子消費者契約とは(電子契約法第3条)  本法の対象となる電子消費者契約とは、電子的な方法(同第2条第3項)により締結された電子契約のうち、BtoC(事業者と消費者間)の取引であり、電子計算機の映像面を介して締結されるものを言います。したがって、インターネットを利用していなくても、専用端末・専用線をつかった電子契約であれば対象となりますし、内部に中央演算処理装置(CPU)を有している機器であれば、パソコンや携帯電話、コンビニの端末を使った場合も本法の適用を受けます。しかし、CtoC(消費者間)の取引である「オークション」などは対象外です。また、消費者が申込内容を自由に入力して送信できる通常の電子メールによる申込みは対象となりません。
このような取引は、BtoB(事業者間)の取引や電子的な方法によらないで契約を締結する場合に比べ、消費者が意図しない申込が生じやすく、また、誤操作については、事業者側が適切な確認措置を講ずることによって、容易にこれを防ぐことができる等、契約締結環境が異なります。そこで、BtoCの電子商取引について、民法の特例を設けたものです。

3.法律の概要        第1条には、「この法律は、消費者が行う電子消費者契約の要素に特定の錯誤があった場合及び隔地者間の契約において電子承諾通知を発する場合に関し民法(明治29年法律第89号)の特例を定めるものとする。」と規定しています。すなわち、次の2つの事項について、民法の原則に対する例外を定めています。
(1)消費者の契約無効の主張に対する事業者の重過失反証の制限−民法95条(錯誤)の特例
・ 従来は、事業者側から、「消費者側の誤操作が『重大な過失』にあたるので契約は有効に成立している」と主張することが可能でした。しかし、本法により、BtoCの電子契約では、消費者が申込みを行う前に、事業者が消費者の申込み内容などを確認する措置を講じていない場合、操作ミスによる消費者の申込みの意思表示は無効となります。
→ BtoCの電子商取引、すなわち、インターネットを利用したネット通販や、専用端末を用いて取引を行う電子商取引では、通常、事業者が設定したフォーム上で、消費者が申込みを行います。その際、消費者がキーボードやマウスの操作を誤って、意図しない申込みをしてしまうことが多々あります。この場合、民法(第95条)では「要素の錯誤」に該当し、契約は原則として無効となるものの、消費者に重過失があったことを事業者から反証された場合は、結局、契約は有効に成立したことになります。
そこで、電子商取引における消費者の誤操作を救済をするため、事業者側がパソコン等の画面上に申込みフォームを設定するような取引において、消費者の申込み内容の意思確認を行うなどの適切な措置を設けていない場合には、原則として、操作ミスによる契約を無効とすることとしました。この結果、民法第95条の但書が適用されないことになります。

(2)電子商取引における契約の成立時期の明確化−民法526条 第1項(隔地者間の契約成立時期)の転換(発信主義から到達主義への転換)
・ 従来は、承諾の通知が“発信”された時に契約は成立していました。しかし、電子契約は、承諾の通知が申込者に“到達”した時に成立することになります。
→ 民法制定当時は、隔地者間の契約は時間のかかる手段を前提としているため、その成立時期は、迅速な契約の成立を図る観点から、契約を承諾する者が承諾の通知を“発信”した時点とされています(発信主義−民法第526条 第1項)。しかし、電子商取引においては、瞬時に意思表示が相手方へ到達するため、承諾の通知が着かない場合のリスクを申込者が負担することになります。インターネット等の電子的な方法を用いて承諾の通知を発するようになった今日では、その前提を欠くことになりました。到達主義ルールに転換すると、承諾の通知が到達しない限り、契約は不成立なので、承諾の通知の不着のリスクは、反対に事業者が負うことになります。
なお、この結果、発信主義を前提とした民法527条も、電子契約においては、承諾者に申込者への通知義務を課す意味はなくなったことから適用されないことになります。

【参考条文】
<民法第95条> 意思表示ハ法律行為ノ要素ニ錯誤アリタルトキハ無効トス。但表意者ニ重大ナル過失アリタルトキハ表意者自ラ其無効ヲ主張スルコトヲ得ス。
<民法第526条> 第1項 隔地者間ノ契約ハ承諾ノ通知ヲ発シタル時ニ成立ス。
<民法第527条> 第1項 申込ノ取消ノ通知カ承諾ノ通知ヲ発シタル後ニ到達シタルモ通常ノ場合ニ於テハ其前ニ到達スヘカリシ時ニ発送シタルモノナルコトヲ知リ得ヘキトキハ承諾者ハ遅滞ナク申込者ニ対シテ其延著ノ通知ヲ発スルコトヲ要ス。
第2項 承諾者カ前項ノ通知ヲ怠リタルトキハ契約ハ成立セサリシモノト看做ス。

以 上

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